| ●ペルシャ絨毯 |
ひとめでもペルシャ絨毯を見たものは、まずその存在感に圧倒されるでしょう。ひと目ひと目を手で織り上げ、いく年もかけ創り上げられるひとつの小宇宙に魅了されずにはいられないのです。エキゾティックなイスラム独特の文様が、優美にかつ繊細に織りこまれ、数多い色彩の細やかさが緻密さを物語っています。また、コルクとよばれる最高級のウールやシルクの吸いつくようななめらかさは、肌に深く刻まれるでしょう。見る方向や光りのさしこみ具合で、ペルシャ絨毯独特のつやや色彩に微妙な変化が訪れる瞬間を見逃すことはできません。こうした芸術品としての魅力に加え、高い耐久性がペルシャ絨毯の長い歴史をつむいできたのでしょう。
ペルシャ絨毯と切り離せないものにイスラムの文化的、宗教的側面があります。
生活の場である日干しレンガでできた家、またテントには、その床に絨毯を引いて生活することが基本となっていました。
そして、7世紀にマホメットにより創設されたイスラム教は、古代ペルシャの宗教であったゾロアスター教を凌駕し、その信仰・思想はペルシャ絨毯に大きな影響を与えました。偶像崇拝を禁止する思想は、アラベスク文様と呼ばれる植物文様を生み出し、幾何学文様を多様化し、コーランの一節を描いた文字文様をデザインの中心にすえました。その絨毯は、メッカを向いて一日に何度となく行う礼拝にも、決して欠かすことのできない存在なのです。
16世紀になり、ペルシャ絨毯は最盛期を迎えます。異民族であるアラブ人支配からイラン人による王朝・サファービー朝が興り、独自の文化も黄金期を迎えるのです。美術に造詣の深い王が、最高の絨毯を創らせるために、宮廷職人の育成に力を注ぎました。そのため、群を抜いた逸品がこの時代に多く生まれたのです。文様の端正で精密な表現力、織り目の細かさはこの時代に勝るものはないでしょう。
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